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ショートドラマ脚本の書き方|基本の構成や制作のポイントを解説

- 最終更新日:2025/04/22
- 公開日:2025/04/22
ショートドラマの脚本には、短い時間で視聴者の心を動かす設計図のような役割があります。
数十秒〜数分の映像で視聴者の感情を動かすには、構成力・テンポ・演出の工夫が欠かせません。特にTikTokやYouTube ショートなどのプラットフォームでは、離脱を防いで最後まで見てもらえるような設計が重要です。
この記事では、ショートドラマ脚本の基本構造や書き方、視聴者を引きつける構成と演出のコツなどを詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
ショートドラマの脚本とは?
ショートドラマの脚本とは、短時間で視聴者を物語に引き込む設計図のようなものです。1話数分の限られた時間内で起承転結を明確に描き、視聴者の感情を動かすことが求められます。
そのため、物語のテーマやメッセージをシンプルかつ分かりやすく伝える構成力が不可欠です。
また、TikTokやYouTubeショートのようなプラットフォームでは、冒頭数秒で視聴者の興味を引かないと離脱されてしまうため、インパクトやテンポ感も重要になります。
ショートドラマ脚本の書き方
まずは基本的なショートドラマ脚本の書き方と流れを押さえましょう。
ショートドラマの脚本には、限られた尺のなかで物語やメッセージを伝える技術が求められます。以下のような流れで脚本を書くと、視聴者を飽きさせずに心を動かす作品を生み出せます。
- テーマとジャンルを決める
- 登場人物を設定する
- ストーリーの構成を作る
- 脚本を書き上げる
各ステップについて詳しく見ていきましょう。
1.テーマとジャンルを決める
ショートドラマの脚本づくりは、テーマとジャンルを明確にすることからはじまります。
視聴者にどんなメッセージを伝えたいのか、どんな感情を抱いてほしいのかをクリアにすることで、脚本全体の方向性がぶれにくくなります。例えば、「すれ違う恋の切なさを伝えたい」「現代社会の矛盾を皮肉で描く」など、伝えたいテーマを決めましょう。
また、恋愛・コメディ・ホラー・ヒューマンドラマなど、ジャンルによって脚本の構成や演出方法は大きく変わります。
テーマとジャンルを最初に決めておくことで、スムーズにストーリーを設計できます。
2.登場人物を設定する
ショートドラマは尺が限られているため、重要な登場人物は2〜3人程度に絞るのがおすすめです。人数を減らすことで、視聴者が関係性を把握しやすくなります。
また、各キャラクターの性格や背景を明確に設定しておくと、短い時間のなかでも視聴者の感情移入を促せます。
さらに、セリフや行動にキャラクターの個性やクセを盛り込み、視聴者の印象に残る工夫を加えましょう。短尺でも「このキャラいいな」「共感できる」と思わせることが、心に残るドラマづくりの第一歩です。
3.ストーリーの構成を作る
物語の構成は「起承転結」が基本ですが、ショートドラマではスピード感を重視した「起→転→結」の流れが適している場合もあります。
まずは冒頭でフックとなる出来事やセリフを入れ、視聴者の興味を引きましょう。驚きや疑問を抱かせ、続きが見たくなるように工夫します。
物語の中盤では、場面転換や説明的なシーンを最小限に抑え、ストーリーに必要な要素だけを抽出しましょう。ここでは、なるべく要素を減らす「引き算」の構成がポイントです。
そして、結末には意外性や共感をもたらすオチを用意することで、視聴者の満足度を高められるでしょう。
4.脚本を書き上げる
構成が固まったら脚本の執筆に取りかかります。セリフとト書き(行動や状況を示す文)を整理しながら、シーンごとの流れを具体的に描きましょう。
ショートドラマではテンポ感が特に重要です。冗長な言い回しや長すぎる説明は避け、セリフは簡潔かつリズミカルにまとめましょう。
また、映像で伝えられる情報は言葉で語りすぎないように注意が必要です。登場人物の表情や動作で感情を表現できる場面では、セリフに頼らない脚本づくりを意識しましょう。
脚本の完成後は、第三者に読んでもらい、セリフの自然さや内容の伝わりやすさを客観的にチェックすることも大切です。
ショートドラマ脚本の基本構成
次に、ショートドラマ脚本の骨格となる基本の構成について解説します。
ショートドラマでは、明確な物語の流れが視聴者を引きつける鍵となります。以下の構成を意識すると物語にまとまりが生まれ、視聴者の満足度を高められるでしょう。
- 視聴者を引き込む「導入」
- 視聴者の関心を維持する「展開」
- 視聴者の記憶に残る「結末」
視聴者を引き込む「導入」
冒頭の「導入」は、視聴者の関心を一気に引く重要なパートです。ここで主人公のキャラクターや状況を素早く提示し、物語の世界観を伝える必要があります。
インサイティング・インシデント(きっかけとなる出来事)を早い段階で示し、視聴者が「この先どうなるの?」と気になる展開を入れることがポイントです。
また、限られた時間内で視聴者に感情移入してもらうには、導入部に余計な説明を入れず、映像や音楽で引きつける工夫も大切です。
視聴者の関心を維持する「展開」
「導入」で視聴者の興味をつかんだあとは、その関心を維持しつづける必要があります。主人公が課題に直面するなど、物語が動き出すような「展開」を繰り広げましょう。
例えば、主人公が課題にぶつかる状況を明確に描きます。そのあとに状況が一変する出来事(成功体験や劇的な変化)を入れることで、視聴者の期待が高まります。
「展開」の後半では、一時的な成功が崩れたり大切な存在を失ったりするなど、感情の落差を演出すると効果的です。そこから主人公が再び立ち上がるきっかけを示すことで、クライマックスに向けた緊張感が生まれます。
視聴者の記憶に残る「結末」
「結末」では、「展開」で生まれたアイデアをもとに主人公が問題を解決し、物語がクライマックスへと進みます。
ショートドラマの「結末」には、感動・驚き・共感を生む強いインパクトが求められます。視聴者の感情を特に揺さぶる場面のため、作品の感想や評価にも大きく影響するでしょう。
例えば、クリフハンガー(続きが気になる終わり方)や、オチが冒頭につながるループ構造を取り入れることで、リピート再生やシェアを促せます。予想を裏切るユニークな結末であれば、SNSでの拡散にもつながるでしょう。
視聴者を引き込む脚本づくりのコツ
基本的な構成ができたら、次に視聴者を引き込むポイントを脚本に加えていきます。印象に残るショートドラマに仕上げるためには、以下のような細部の工夫が不可欠です。
- セリフを短く、テンポを速める
- 共感ポイントやツッコミどころを用意する
- マーケティング視点を脚本に落とし込む
こうした工夫を加えることで視聴維持率が上がり、SNSでも話題に上がりやすくなるでしょう。
セリフを短く、テンポを速める
ショートドラマでは、限られた時間でどれだけ濃密に感情や情報を伝えられるかが重要です。長いセリフや冗長な説明は視聴者の集中力を削いでしまいます。
例えば、複数のセリフで丁寧に説明するよりも、一言で過去の出来事や人間関係を想像させる表現のほうがインパクトが強く、テンポ感も損なわれません。
「あの時のこと、まだ許してない」などの印象的な一言で、キャラクターの心情や関係性を想像させるような脚本が理想的です。
共感やツッコミどころを用意する
ショートドラマを多くの人に楽しんでもらうには、視聴者の感情を動かす「仕掛け」が欠かせません。
特に、「あるある!」「分かる〜」と共感できるポイントを盛り込むと、コメントが自然に増え、作品が拡散されやすくなります。
また、思わずツッコミたくなるセリフや意外な結末、不自然な演出などがあると、SNS上での考察やシェアが活発になるでしょう。
共感・ツッコミ・考察の余地を脚本に組み込むことが、作品の話題性を高めるポイントです。
マーケティング視点を脚本に落とし込む
ショートドラマは、広告感を排除しつつブランドや商品を自然に訴求できるマーケティング手法としても注目されています。その効果を高めるには、マーケティングの視点を脚本に落とし込むことが重要です。
例えば、ショートドラマではPRしたい商品を自然な形でストーリーに組み込む「プロダクトプレイスメント」という手法が用いられます。このとき、登場人物の行動や感情と商品を結びつけ、視聴者が違和感なく受け入れられる話の流れにすることが重要です。
広告要素を前面に出さず、あくまで物語の一部として商材をアピールすることで、質の高いプロモーションにつながります。
ショートドラマをマーケティングに活用するポイントや成功事例は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてチェックしてみてください。
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ショートドラマを活用したマーケティング戦略|6つの成功ポイントと事例を解説
ショートドラマ制作のポイント
ショートドラマ制作では、脚本はもちろん配信戦略や制作体制も重要です。作品の完成度を高め、より多くの視聴者に届けるためにも、以下のポイントを意識しましょう。
- プラットフォーム別に最適な脚本を作る
- ショートドラマ専門の制作会社に依頼する
プラットフォーム別に最適な脚本を作る
ショートドラマを成功させるには、どのプラットフォームで発信するかをあらかじめ明確にし、それに適した脚本づくりや演出を行うことが重要です。なぜなら、プラットフォームごとに視聴者層・視聴スタイル・好まれる演出が異なるためです。
以下に、各プラットフォームの特徴と脚本・演出のポイントをまとめました。
プラットフォーム | 特徴 | ポイント |
---|---|---|
TikTok | ・視聴完了率が重要 ・受動的に見ているユーザーが多い | ・冒頭に興味を引くような仕掛けを入れる ・トレンドの音源やネタを活用する ・ループ構成で複数回の再生を促す |
YouTube ショート | ・最長1分から3分に変化(2024年10月) ・視聴時間の長さが重要 | ・冒頭にスワイプを防止する工夫を入れる ・ストーリー性のある展開で視聴者を引き込む ・通常の動画への導線も意識する |
Instagram リール | ・恋愛やライフスタイル系が人気 ・ビジュアル重視 | ・コメントを促しエンゲージメントを高める ・テンポの良い編集を意識する ・音無しでも楽しめる映像やテロップの活用 |
プラットフォームの特性に合った脚本・演出は、再生数やエンゲージメントの向上につながります。
ショートドラマ専門の制作会社に依頼する
ショートドラマでは、限られた時間で視聴者の心をつかむ必要があります。通常のドラマとは異なる部分もあるため、短尺ならではのテンポ感や演出など独自のノウハウが求められます。
特に企業がプロモーション目的でショートドラマを制作する場合、映像のクオリティだけでなく、視聴者の反応を意識したマーケティング視点が重要になります。そのため、ショートドラマを専門に手がける制作会社に依頼するのがおすすめです。
ショートドラマ制作をプロに依頼するメリットは、以下のようなものがあります。
- トレンドや視聴傾向の分析に基づいた脚本が書ける
- 撮影・編集のクオリティが高く、視聴維持率を向上させられる
- 企業や商品の魅力を自然に織り交ぜたストーリーを設計できる
視聴者の心をつかみ、企業の成果にもつながるショートドラマを作るには、専門性のあるパートナーとの連携が効果的です。

nowhere filmはショートドラマ特化の制作プロダクションです。TikTokなどのSNS向け縦型動画をはじめ、30話以上のアプリ課金型や横型対応の動画など、映像の質とマーケティング視点を両立させた作品づくりを行っています。
- 課金型ドラマ作品300話以上の制作実績あり
- コメディ・恋愛・ホラーなど多彩なジャンルに対応
- SNS・ショートドラマアプリなど配信先に応じた制作・企画が可能
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脚本の力でショートドラマの影響力を最大化させよう
ショートドラマは、短い尺でも見る人の心を動かす力を持った新たな映像表現です。その魅力を最大限に引き出すには、視聴者を引きつける脚本がカギとなります。
伝えたいテーマを明確に設定し、テンポの良い展開と感情に訴えるストーリーを組み立てることが重要です。
また、ショートドラマをマーケティングに取り入れることで、SNSでの反響や企業のプロモーションにもつながります。脚本の力を活かし、ショートドラマで自社の可能性を広げていきましょう。

酒井 大輝|nowhere film代表
ショートドラマ制作会社 nowhere film 代表。広告・エンタメ領域で多数の映像コンテンツを手がけ、企業の映像戦略やショートドラマ制作を支援。大手企業やスタートアップのブランディングに携わり、映像を活用したマーケティングを得意とする。シーシャバーやワインバーなど、場づくり事業も展開。