ショートドラマプラットフォームとは?ビジネスモデルや主要サービスを解説

ショートドラマプラットフォームとは?ビジネスモデルや主要サービスを解説
  • 最終更新日:2025/04/22
  • 公開日:2025/04/22

スマホ視聴を前提とした縦型・短尺ショートドラマ専用のプラットフォームが人気を集めています。課金型・広告型・サブスク型など多様なビジネスモデルがあり、日本企業の参入も拡大中です。

本記事では、日本・海外の主要なショートドラマプラットフォームを紹介します。ビジネスに活用するポイントも分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ショートドラマプラットフォームとは?

ショートドラマプラットフォームとは、縦型・短尺ドラマの配信を行うアプリのことです。TikTokなどのSNSとは異なり、動画配信に特化している点が特徴です。海外での流行をきっかけに日本でも専用のサービスが登場し、利用者を増やしています。

ここでは、プラットフォームを理解するうえで重要なショートドラマの市場規模や成長の理由、日本国内での動向を解説します。

ショートドラマの市場規模

ショートドラマ市場は、今後さらに拡大が見込まれる成長分野のひとつです。日本国内では2026年までに1,530億円規模に達すると予測され、グローバル市場では2029年に8.7兆円規模にまで成長すると見込まれています。(※1)

アメリカでは、「ReelShort」や「DramaBox」などのプラットフォームが1ダウンロードあたりの収益で他市場の約6倍に達する(※2)など、収益性の高い事業として注目を集めています。

また、ショートドラマプラットフォームの海外展開では、市場成長が著しい日本や東南アジアが主要なターゲットに位置付けられています

国内外で急成長中のショートドラマ市場は、今後のエンタメ業界や動画ビジネスで重要なポジションを担うでしょう。

※1 出典:emole株式会社のプレスリリース|ショートドラマアプリ「BUMP」が世界進出、100カ国・地域でアプリ提供・ドラマ配信を開始
※2 出典:Sensor Tower|[レポートシェアリング] 「ショートドラマアプリの海外市場進出に関するインサイト 」

ショートドラマプラットフォームが成長している理由

ショートドラマプラットフォームが急成長している背景には、若年層を中心としたニーズの変化があります。特にZ世代は時間を効率良く使う「タイパ」を重視しており、1話数分で完結するショートドラマはその価値観にフィットしています。

さらに、プラットフォーム側のユーザビリティ向上も市場拡大を後押ししている理由のひとつです。スマホやタブレットを中心とした視聴環境の整備や、シンプルで分かりやすい料金体系の導入など、利便性が向上しています。

こうした理由から、ショートドラマは気軽に楽しめる新しいコンテンツとして若年層を中心に定着しつつあります。若者のライフスタイルに自然に入り込める点が、ショートドラマの成長を支える大きな要因といえるでしょう。

日本のショートドラマプラットフォーム参入の事例

ショートドラマ市場の拡大を受けて、日本でも2024年以降、大手企業やテレビ局が続々とプラットフォーム事業に参入しています。

吉本興業とNTTドコモが共同で展開する「FANY:D(ファニーディー)」をはじめ、フジテレビ運営の動画配信サービス「FOD」もショートドラマ専用アプリのリリースを発表しています。(※1)

また、日本テレビやテレビ東京などの民放キー局も、テレビ制作で培った強みを生かしてオリジナル作品を配信し、ショートドラマ市場への進出を果たしました。(※2)

今後もエンタメ企業やメディアを中心に、ショートドラマ市場への参入が加速すると予想されます。

※1 出典:FOD INFO|FODがショートドラマ事業に参入!2025年度に専用アプリ「FOD SHORT」をリリース予定
※2 出典:日経クロストレンド|日テレ、テレ東もショートドラマ制作強化 テレビ局が狙う新収入源

ショートドラマプラットフォームのビジネスモデル

ショートドラマプラットフォームのビジネスモデルは、収益化の仕組みによって大きく3つに分類されます。

  • 課金型(PPV:ペイ・パー・ビュー)
  • 広告型(AVOD:広告ベースの無料視聴)
  • サブスク型(SVOD:定額課金)

各ビジネスモデルの特徴を詳しくみていきましょう。

課金型(PPV:ペイ・パー・ビュー)

課金型(PPV)は視聴者が1話ごとに料金を支払う方式で、ショートドラマプラットフォームの代表的なビジネスモデルです。

多くのプラットフォームでは、最初の数話を無料で提供し、物語が盛り上がるところで有料に移行するのが一般的です。特に中国市場では課金型モデルが広く定着しています。

また、アプリ内決済の簡易化やターゲティング技術の活用により、コンバージョン率の最適化も進んでいます。物語の魅力と課金につながる導線を結びつけることで、高い収益性を実現できるモデルです。

広告型(AVOD:広告ベースの無料視聴)

広告型(AVOD)は、視聴者が広告を見ることでコンテンツを無料で楽しめるモデルです。YouTubeなどが代表的な例であり、ユーザーの視聴履歴や興味関心をもとに広告を配信しています。

視聴のハードルが低いため、ユーザー数を伸ばしやすく、特に東南アジア市場では課金型よりも広告型が主流です。

一方で、広告の表示タイミングや頻度によっては離脱率が高まるリスクもあり、広告の入れ方が視聴体験を左右します。広告型の動画配信を行うときは、視聴体験の快適さと収益化のバランスをどのように取るかがポイントです。

サブスク型(SVOD:定額課金)

サブスク型(SVOD)は、視聴者が定額料金を支払うことでコンテンツを楽しめるモデルです。

「Netflix」や「Disney+」などが代表例であり、固定収益が見込めるため、事業の安定性が高い点が特徴です。ショートドラマでは、課金型とサブスク型を併用しているプラットフォームもあります。

ただし、サブスク型は視聴者がサービスの価値を感じなければ継続的な利用にはつながりません。そのため、一定の頻度で新作コンテンツを追加するなど、継続利用を促す戦略が求められます

主要なショートドラマプラットフォーム・アプリ5選

国内外で人気を集めるショートドラマプラットフォーム・アプリを5つ厳選して紹介します。それぞれの特徴や強みを比較しながら、自社に合ったプラットフォームを見つけてみてください。

※表は横にスクロールできます

プラットフォーム運営会社拠点ビジネスモデル料金体系特徴
BUMP(バンプ)emole株式会社日本・課金型
・広告型
・1話あたり97円(税込)
・広告視聴または一定時間待機で無料視聴も可能
・1話1~3分の縦型ショートドラマが豊富
・恋愛・復讐・ミステリーなど多彩なジャンルを展開
・総ダウンロード数190万回超え(2025年2月末時点)
Vigloo(ビグルー)株式会社Spoonlabs Japan韓国・日本・課金型
・広告型
・サブスク型
・広告視聴やログインボーナスで獲得したコインで無料視聴が可能
・週間・月間・年間のメンバーシップ制もあり
・1話1~2分の短編でテンポ良く視聴​可能
・TikTokのようにスワイプで次のエピソードを連続再生
・多ジャンルにわたって完成度の高いオリジナル作品を提供
ReelShort(リールショート)Crazy Maple Studio(COLグループ)中国・アメリカ・課金型
・広告型
・サブスク型
・課金のほか広告視聴による無料のコイン取得も可能
・サブスク契約で全ストーリーを視聴できる
・1話約1分の超短尺ドラマ
​・ハリウッド制作の高品質な動画を提供
・2024年に日本版アプリ「UniReel」をリリース
DramaBox(ドラマボックス)StoryMatrix Pte. Ltd.シンガポール・アメリカ・中国・日本・課金型
・広告型
・サブスク型
・ログインなどのミッションクリアで無料視聴が可能
・期間限定で全作品無料のプランも提供
・200ヶ国以上で展開する世界最大級のプラットフォーム
・毎年数千シリーズの新作を追加配信
・アカウント登録不要で利用可能​
ShortMax(ショートマックス)SHORTTV LIMITED香港・課金型
・広告型
・サブスク型
・課金のほか週間・月間のサブスク契約もあり
・広告視聴やタスク完了で無料視聴も可能
・世界198以上の国と地域でサービスを展開
・グローバルDAUが1,000万人を突破(2025年2月時点)
・16言語に対応

BUMP

BUMPは、日本発のショートドラマプラットフォームとして注目を集めているアプリです。

2025年2月末時点で総ダウンロード数は190万回(※)を超え、国内では先駆者的存在として成長を続けています。1話ごとの課金をはじめ、マンガアプリのように一定時間経過や広告視聴によって無料でも楽しめるなど、多様な視聴スタイルに対応しています。

ジャンルはラブコメ、復讐劇、ミステリー、青春純愛、アクションなど幅広く、ユーザーの好みに応じた選択肢が豊富です。

さらに、再生中にコメントを送れる機能や、お気に入りのシーンをSNSでシェアできる仕組みもあり、ユーザー参加型の楽しみ方ができるのが特徴です。クリエイターへの収益還元や新人俳優のサポートも行うなど、視聴者・制作者双方に価値のあるプラットフォームとなっています。

※出典:emole株式会社のプレスリリース|ショートドラマアプリ「BUMP」が世界進出、100カ国・地域でアプリ提供・ドラマ配信を開始

Vigloo

Viglooは、音声配信アプリ「Spoon」を運営するSpoonlabsが2024年7月にリリースしたグローバル向けショートドラマプラットフォームです。音声配信で培った技術力を生かし、演出・音響・脚本にこだわった高品質なオリジナルコンテンツを提供しています。

TikTokやYouTube ショートのような縦型スワイプ方式により、直感的な操作で次々とドラマを視聴できます。また、韓国語・英語・日本語・中国語などの8ヶ国語に対応しており、多言語展開も大きな強みです。

ビジネスモデルは基本5話まで無料+アプリ内通貨による課金が中心で、週間・月間・年間のメンバーシップ制も導入。1話あたり1〜2分のテンポ感と、1タイトル20〜100話で構成されるボリュームにより、ユーザーが次の展開を追いかけたくなる設計が特徴的です。

ReelShort

ReelShortは、中国のCOLグループが中国・北米市場向けに展開するショートドラマプラットフォームで、世界的に高いシェアを誇っています。

2024年2月時点では、海外市場におけるショートドラマアプリのダウンロード数および収益の約半数をReelShortが占めており(※)、その存在感は群を抜いています。

ReelShortのビジネスモデルは、アプリ内課金を中心に、広告視聴による無料再生やサブスク契約も可能という柔軟な設計です。

2024年には日本向けアプリ「UniReel」もリリースし、有名俳優を起用した本格的なドラマ制作が進行中。国内外でますます注目を集めるプラットフォームです。

※出典:Sensor Tower|[レポートシェアリング] 「ショートドラマアプリの海外市場進出に関するインサイト 」

DramaBox

DramaBoxは、200ヶ国で展開されている世界最大規模のショートドラマプラットフォームです。

拠点はシンガポールを中心に、アメリカ、日本などグローバルに広がっており、世界中の視聴者に向けて多言語対応のコンテンツを提供。アカウント登録や個人情報の入力を必要としない手軽さも、多くのユーザーに支持されている理由のひとつです。

2024年には、ショートドラマプラットフォームにおける収益・ダウンロード数・月間アクティブユーザー数の各世界ランキングでトップを独占。2025年1月時点での世界累計収益は3億6,000万ドルを超える(※)など、圧倒的な実績を誇ります。

グローバル展開と視聴の手軽さを兼ね備えたDramaBoxは、世界市場でのスタンダードを築く存在となりつつあります。

※出典:Sensor Towerのプレスリリース|[レポート]2025年APAC地域パブリッシャーの非ゲームモバイルアプリ市場に関するインサイト

ShortMax

ShortMaxは、香港のSHORTTV LIMITEDが運営するショートドラマプラットフォームです。世界198以上の国と地域でサービスを展開し、ヨーロッパやアメリカ、東南アジアを中心に人気を集めています。

2024年1月にグローバルDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)が100万人を突破。2025年2月には1,000万人を超え、対応言語数も16言語に増えるなど急成長を遂げています。(※)

2024年からテレビ朝日とショートドラマの共同制作にも取り組み、同社のヒットドラマ『奪い愛、冬』を縦型ショートドラマにリメイク。日本向けの作品展開も話題を呼んでいる注目のアプリです。

※出典:株式会社テレビ朝日のプレスリリース|テレビ朝日x香港SHORTTV共同制作!『奪い愛、冬』の縦型ショートドラマリメイク版を「ShortMax」で配信開始!

ショートドラマプラットフォーム活用の成功ポイント

プラットフォームでのショートドラマ配信を成功させるには、SNSでの配信とは違ったコツが必要です。ここでは、ショートドラマプラットフォームを活用する際に注意すべきポイントを解説します。

継続視聴を促す仕組みを作る

ショートドラマプラットフォームで成果を上げるには、ユーザーに継続利用してもらうための工夫が欠かせません。TikTokなどのSNSとは異なり、視聴を続けるごとに課金や広告視聴が必要になるため、離脱を防ぐ設計が重要です。

具体的には、物語のスピード感とテンポの良い展開がカギとなります。ストーリーの進行が遅いとユーザーは興味を失い、離脱しやすくなります。そのため、1話ごとにテンポ良く物語を進め、次の展開が気になるような引きのある終わり方にすると効果的です。

ターゲットを見据えてジャンルを選定する

ショートドラマを活用する際は、「誰に届けたいのか」を明確にしたうえで制作ジャンルを選ぶことが大切です。

恋愛、復讐劇、青春、ミステリーなどジャンルは多岐にわたりますが、ターゲットが好む内容でなければ継続的な視聴にはつながりません。視聴者が感情移入できるキャラクターや設定を盛り込み、物語に没入してもらうことで自然にメッセージを訴求できます。

ターゲットを見据えたジャンル選定は、継続的な視聴やファンの増加につながるでしょう。

ショートドラマ独自の作品づくりを意識する

ショートドラマで成果を出すには、従来の映画やテレビドラマとは異なる、短尺コンテンツならではの作品づくりを意識する必要があります。

ショートドラマの場合、映像やストーリーの質が高いからといって、必ずしも視聴者に響くわけではありません。大事なのは、限られた時間のなかで心をつかむことです。

特に課金型モデルでは、有料視聴に移行するタイミングを見据えて構成を考えるなど、視聴体験と収益のバランスを取る工夫が重要です。

そのため、ショートドラマプラットフォームをビジネスに活用したい企業は、特に課金型モデルの実績が多い制作会社に依頼することをおすすめします。

専門的な知見と豊富な実績を持つパートナーを選ぶことで、ユーザーに響く作品づくりと収益化の両方を実現できるでしょう。

nowhere filmはショートドラマ特化の制作プロダクションです。TikTokなどのSNS向け縦型動画をはじめ、30話以上のアプリ課金型や横型対応の動画など、映像の質とマーケティング視点を両立させた作品づくりを行っています。

  • 課金型ドラマ作品300話以上の制作実績あり
  • コメディ・恋愛・ホラーなど多彩なジャンルに対応
  • SNS・ショートドラマアプリなど配信先に応じた制作・企画が可能

「ショートドラマやnowhere filmについて知りたい」という方は、ぜひ以下のボタンより資料を無料ダウンロードしてご覧ください。

ショートドラマプラットフォームを自社のビジネスに活用しよう

海外をはじめ、日本でも人気が高まっているショートドラマ。マーケティング手法としても注目され、国内の大手企業がプラットフォーム事業への進出を始めています。

プラットフォームでのショートドラマ配信は、課金型・広告型・サブスク型など、目的に応じたビジネスモデルが選べる点も大きな特徴です。

実際に、ショートドラマを活用したブランディングや販促、採用広報の事例なども増えています。ストーリーを通じて自社の魅力を伝える手法として、ショートドラマの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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酒井 大輝|nowhere film代表

ショートドラマ制作会社 nowhere film 代表。広告・エンタメ領域で多数の映像コンテンツを手がけ、企業の映像戦略やショートドラマ制作を支援。大手企業やスタートアップのブランディングに携わり、映像を活用したマーケティングを得意とする。シーシャバーやワインバーなど、場づくり事業も展開。