- ショートドラマ制作
ショートドラマを活用したマーケティング戦略|6つの成功ポイントと事例を解説

- 最終更新日:2025/04/23
- 公開日:2025/03/05
若年層を中心に人気のショートドラマは、新たなマーケティング手法としても注目されています。
ショートドラマをマーケティングに取り入れたいと考えているものの、「どのように活用すればいいか分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ショートドラマをマーケティングに活用する際のポイントや成功事例を解説しています。ショートドラマの具体的な活用方法が気になる方は、ぜひご覧ください。
目次
ショートドラマとは
ショートドラマとは、スマホでの視聴に最適化された縦型の短編動画です。中国で流行し、2024年頃から日本でも人気が拡大しています。1話あたり数分と短いため、通勤・通学などのスキマ時間に手軽に楽しめるのが特徴です。
ショートドラマはTikTokやInstagramなどのSNSで広まり、2024年上半期のTikTokトレンド大賞にも選ばれるなど、Z世代を中心に注目されています。この人気を背景に、企業が自社商品のPRやブランディングの一環としてショートドラマを活用するケースが増えています。
ショートドラマの市場規模
ショートドラマの世界市場規模は今後も成長が見込まれ、2029年には566億ドル(約8兆7,000億円)にのぼると予測されています。(※1)その背景には、スマホを中心とした視聴スタイルの変化や、短時間で楽しめるコンテンツの需要増加があると考えられます。
なお、2024年の日本国内のテレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は1兆7,605億円(※2)と推定されています。比較すると、ショートドラマ市場の規模の大きさがイメージできるのではないでしょうか。
※1 出典:Yahoo!ニュース|“縦型ショートドラマ”世界市場拡大…2029年には約8兆7000億円規模に 背景に視聴スタイルの変化(日テレNEWS NNN)
※2 出典:電通ウェブサイト|2024年 日本の広告費 – News(ニュース)
ショートドラマをマーケティングに活用するメリット
ショートドラマを企業のマーケティングとして活用するメリットは、次の3点です。
- 広告感がなく、最後まで視聴されやすい
- 低コスト・短期間で制作できる
- 質の高い認知を獲得できる
以下より詳しく見ていきましょう。
広告感がなく、最後まで視聴されやすい
ショートドラマの大きなメリットは、広告感が薄く、スキップされずに最後まで視聴されやすいことです。
ショートドラマを広告として活用する場合、映像内に自然な形で商品やブランドを溶け込ませる「プロダクトプレイスメント」という手法が多く用いられます。この手法により、従来のような宣伝感を出さずに商品をPRできるため、視聴者に受け入れてもらいやすい傾向があります。
低コスト・短期間で制作できる
ショートドラマは、テレビCMと比較すると低コスト・短期間での制作が可能です。一般的に、ショートドラマ制作費の相場は数十万円~千数百万円、制作期間は平均1~3ヶ月程度となっています。
また、TikTokなどのプラットフォームにオーガニック投稿として配信すれば、広告費もかかりません。その分、コストを制作費に集中させることができます。
質の高い認知を獲得できる
ショートドラマは、情報発信がメインのショート動画とは異なり、高いストーリー性を持っています。そのため、作品を通して商品やブランドイメージを効果的にアピールすることが可能です。
広告としての先入観なく作品を楽しんでもらうことで、視聴者に好印象を持たれやすい傾向があります。作品への好印象が質の高い認知につながり、商品やサービスを見かけた際に「あのドラマの商品だ」と想起してもらえる可能性が高まるでしょう。
ショートドラマのマーケティング活用事例
ショートドラマのマーケティング活用事例を3つ紹介します。
- 日本航空株式会社
- 三井住友カード株式会社
- 福島県いわき市
ショートドラマは大企業や自治体のマーケティングにも採用されており、新たな広告手法として人気が高まっています。
日本航空株式会社
日本航空株式会社(JAL)の『旅する度』は、JAL久米島路線の予約数が伸び悩んでいたことから、沖縄・久米島の魅力を伝える目的で制作されました。ストーリーに「旅先での過ごし方の価値観の違い」という「あるある」を盛り込むことでコメントを促し、視聴者のエンゲージメントを高めています。
同作は2024年1月に前・後編で公開され、投稿から約1ヶ月で総再生数1,000万回を突破。再生数だけでなく久米島路線の予約数も伸び、当初のKPIを大きく上回る成果につながりました。(※)
※出典:ウェブ電通報|JALはなぜ縦型ショートドラマで成果を出せたのか? 1000万回再生の裏側
三井住友カード株式会社
『忙しすぎる人』は、大手クレジットカード会社・三井住友カードのショートドラマです。映画『カメラを止めるな!』で知られる上田慎一郎監督とコラボし、タイパ(タイムパフォーマンス)をテーマに動画を制作しました。
物語のなかにスマホでの決済シーンを盛り込み、スマートなタッチ決済を広告感なく訴求している点がショートドラマらしい見せ方になっています。
同作の総再生回数は300万回以上、CTR(クリック率)は通常の数十倍(※)となっており、ショートドラマを通じてスマホのタッチ決済のプロモーションに成功しました。
※出典:CreatorZine│クリエイティブ×ITの情報でクリエイターを応援するウェブマガジン|総再生回数は300万回超え 三井住友カード×上田監督によるショートドラマ制作成功の心得を担当者が語る
福島県いわき市
『しあわせの風吹く島』は、自治体がショートドラマをマーケティングに活用した事例です。福島の大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」の開始を受け、若い世代に市の魅力を発信するために制作されました。
同作は、国宝の白水阿弥陀堂やスパリゾートハワイアンズなど、いわき市内のさまざまな観光施設で撮影されています。市の観光サイトでもドラマのロケ地を紹介するなど、動画とあわせた施策により観光誘致を行っています。
ショートドラマをマーケティングに活用する6つのポイント
ショートドラマをマーケティングに活用する際のポイントを6つ紹介します。
- ショートドラマの特性を理解する
- ブランドストーリーテリングを重視する
- プロダクトプレイスメントを意識する
- ショートドラマと関連したキャンペーンを開催する
- インフルエンサーマーケティングを併用する
- マーケティング視点を持った制作会社に依頼する
1.ショートドラマの特性を理解する
ショートドラマは多くのユーザーへのリーチを得意としています。そのため、商品・サービスやブランドの認知拡大を目指す場合に有効な施策です。
一方、「広く認知されているのに売上につながっていない」などの課題を抱えている場合、ショートドラマ以外の施策もあわせて検討する必要があります。
ショートドラマの特性を理解し、自社の課題解決に適しているかを考えたうえで活用しましょう。
2.ブランドストーリーテリングを重視する
ショートドラマはストーリー性やインパクトが強いため、視聴者の記憶に残りやすいプロモーション手法です。そのため、ブランドストーリーテリングにも適しています。
ブランドストーリーテリングとは、物語を通して自社の価値観や背景を伝え、顧客と感情的なつながりを持つためのマーケティング手法です。
ショートドラマをブランドストーリーテリングに活用することで、商品の機能的な価値だけでなく、共感やあこがれなどの情緒的な価値によって選んでもらえる可能性が高まります。市場の競争が激しくなるなかで、他社との差別化にもつながるでしょう。
3.プロダクトプレイスメントを意識する
ショートドラマを制作する際は、前述した「プロダクトプレイスメント」を意識しましょう。プロダクトプレイスメントとは、映画やテレビドラマ、音楽、動画コンテンツなどの作品内に商品やサービスを登場させる広告手法です。
この手法により、ストーリーを通じて視聴者に商品やサービスの情報を自然に伝えることができます。また、広告を見る時に感じる抵抗感やストレスを軽減できる点もメリットです。
4.ショートドラマと関連したキャンペーンを開催する
ショートドラマを配信するタイミングで、ドラマと連動したキャンペーンなどを実施すると、より高いマーケティング効果が期待できます。
前述したJALの『旅する度』では、ドラマの内容に関するクイズを出題し、久米島への往復航空券が当たるキャンペーンを実施。クイズに回答するにはドラマを全編視聴する必要があるため、ユーザーの熱量をさらに加速させることに成功しました。
5.インフルエンサーマーケティングを併用する
リーチしたいターゲット層に人気のインフルエンサーをショートドラマに起用するのもおすすめです。熱量の高いファンによる拡散や購入につながるなど、メリットは多岐にわたります。
また、インフルエンサーにとっても、ショートドラマへの出演が自身の認知度を高めるチャンスになります。気になるインフルエンサーがいれば出演者の候補として検討しましょう。
ただし、制作会社によっては自社に所属するキャストをメインに起用する場合もあります。キャスティングに希望がある場合は、早い段階で制作会社に相談しましょう。
6.マーケティング視点を持った制作会社に依頼する
ショートドラマを制作する際は、映像のクオリティはもちろん、マーケティング視点を持った制作会社に依頼することが重要です。
ショートドラマの再生回数は伸びても、肝心の認知拡大や売上に結びつかないケースもあります。その原因として、映像の質は高いものの、マーケティングの視点が欠けていたという可能性が考えられます。
ショートドラマを活用したマーケティングを成功させるには、映像の質にこだわるだけでなく、一連のマーケティング戦略が欠かせません。
ショートドラマをマーケティングに活用して、ユーザーと質の高い関係を築こう
この記事では、ショートドラマを活用したマーケティングのポイントや成功事例などを解説しました。
ショートドラマをビジネスに活用する場合、映像の質にこだわるのはもちろん、マーケティング戦略が不可欠です。映像のクオリティとマーケティング施策の両面に強みを持つ制作会社に依頼しましょう。

nowhere film株式会社では、ショートドラマを活用した企業のプロモーションを支援しています。「ショートドラマを活用したプロモーションを検討している」「映像の質もマーケティングも妥協したくない」という方は、ぜひ以下のボタンよりお問い合わせください。

酒井 大輝|nowhere film代表
ショートドラマ制作会社 nowhere film 代表。広告・エンタメ領域で多数の映像コンテンツを手がけ、企業の映像戦略やショートドラマ制作を支援。大手企業やスタートアップのブランディングに携わり、映像を活用したマーケティングを得意とする。シーシャバーやワインバーなど、場づくり事業も展開。